というわけで、二匹目のネコ・・・いや三味線が我が家にやってきました。
そもそも、6月のある日、初代三味線のメンテにいつもの楽器屋さんに行ったとき、帰り際、おじさんに「こんな三味線あるけど、どうですか?」と見せられたのが始まり。
最近は三味線をやめる人が多くて、いい三味線だと、師匠に持っていくか楽器屋さんに預けるというので、これもその一つ。
おじさんは一つ一つのパーツについて説明をしてくれました。職人さんが時間をかけ、丁寧につくったものであること、象牙など手に入らない素材を使ってあって、同じものはもう作れないこと、このクオリティで新品を買うと5倍はすること。
例えば、三味線の胴(太鼓の部分)の内側は綾杉彫りといってギザギザ模様が彫ってあるんですが、これは残響を減らすための工夫で、残響を減らせると、音が粒立ってきれいに聞こえるというわけです。
職人さんは手で彫りますが、最近のは機械で彫ります。
実は、人間が彫った方が残響が多くカットできるそうな。人間の彫った凸凹がある方が残響が引っかかっていいと。なるほどー。
しかし、胴を作る職人さんがいなくなってしまいました。
説明を聞けば聞くほど、もう楽器じゃなくて工芸品か芸術品のように見えてきたわけですが、戸惑う気持ちもありました。
今のお稽古三味線があるから、もう一つ買う理由がない・・・中古とはいえ値段もそこそこするし・・・ボーナスの使い道は全部決まってるし・・・
「今度の日曜日がお稽古日なので、先生に相談してからお返事しますね〜」と言って時間を稼ぐ作戦に。
三味線を始めてからずっとお世話になっている楽器屋のおじさんですが、職人気質で一度も売るそぶりをしたことがないのに、珍しいことがあるもんだな〜と思いましたが、、、
それからすぐに父が亡くなり、葬儀や何やで20日ほどたちました。
「あの三味線、売れちゃったかなー、縁がなかったかなー」残念だけど仕方ない、そんな気持ちでした。
いい三味線だったなー。もし何年かして新しいものを買うときは、あの三味線と比べちゃうんだろうな。そして、あの三味線以上のものにはなかなか会えないんだろうな・・・とも。
東京に帰ってほどなく母から電話がありました。「お父さんのことでは子供たちにも何度も足を運んでもらったから、電車賃だけでも返したいと思って」ということでした。
何度も足を運んだのは姉で、父が生きているときは、ケアマネさんとの相談、病院の予約、送迎の手配、リハビリ嫌いな父のかわりに怒られたり、実家の掃除、草取りまで、四国から何度も実家に通っています。
私に話をしたのは、多分、姉妹で10:0にするのもかわいそうだと思った母の気持ちでしょう。その話が出たとき、母が金額を言う前から不思議と幾らか分かりました。
どんぴしゃ三味線の金額でした。母には三味線の話はしてなかったけど。
そうかそうか。商売っ気のないおじさんが言ってくれたのもそのせいか。これはもう何かの巡り合わせなんだなと。
翌朝、すぐお店に電話したら、案の定まだ売れていなかった笑
こんな感じで2本目の三味線はやってきました。
糸巻きは象牙でございます。
皮は、、四つ(ネコ)ではない。動物愛護なのだにゃ。
手前が初代、奥がおニューの、どちらも大事な三味線です。
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- 猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。
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