ふうちゃん物語(18)タカシの苦悩

法事は無事終わり、座がくつろいで、それぞれ話し込む人、帰る人、子供たちの元気な声が響く中、施主から西円寺の住職にご挨拶がありました。

豊かな白髪の上品な感じの女性が施主で、「このたびで一区切りついた思いです。おかげさまで、長男は主人の後を継いで歯科医に、長女は隣町に嫁ぎ、孫も二人生まれました。」

住職はタカシと二人並んで正座し、威厳を持って答えます。「そうですか、あのときはまだ二人とも学生でしたが立派になられて。これも亡きご主人と御仏のご加護でしょう」住職と施主は同年代で、同じ年数を生きてきた者同士の親しみといたわりのある言葉でした。

「では、私どもはそろそろ・・・」住職がすっと立ち上がり、タカシも連れて立とうとすると、「ああああーーっっ!!いたたたーー!!」タカシは正座に慣れていないので、畳の上で盛大にこけてしまいました。

「あら、まあ、ほほほ・・・」女性の顔が和らぎ、住職もとがめるでもなしに「いやいや、失礼しました。この者はまだ半人前でして」

タカシがしびれた足をさすっている間の二人の会話「住職様、私、安心しましたわ。一時期に比べるとお元気になられて」「いや、お恥ずかしい。」「若住職様のご活躍が楽しみですわね」「いえ、これもご縁ですから、どうでしょうな」

法事から帰ってきました。西円寺の隅にある小さな家の一階に住職夫妻、二階にタカシ夫婦が住んでいました。タカシは袈裟を脱ぎ、普段着に着替えてごろっと横になりました。

「あー、疲れた」やっと27歳の一人の青年に戻りました。

しばらくぼんやり天井を眺めていると、さっきの言葉が思い出されます。「若住職様のご活躍が楽しみですわね」・・・

若住職か・・・

ミチコと結婚してすぐにミチコの兄が事故で亡くなったため、義両親の悲しみは大変深く体調も崩し、同居してミチコが身の回りを世話するのが自然な流れだった。

特に住職は一人で歩けないほど弱っていたが、家にこもって悲しんでばかりいてもいけないので、自分が体を支えて檀家さん回りをしていたが、そのうち檀家さんから若住職と呼ばれるようになり、一人よりは二人の方が収入につながるからと最近では袈裟を着てにわか僧侶になり、法事だ、葬式だと週末ごとにやっているが・・・

まずいよなーーー。檀家はだましていることになるし、住職には変な期待を持たれてしまっている。どこかでやめないといけないんだけど・・・

タカシは悩んでいました。(続く)

 

ふうちゃん