ふうちゃん物語(35)山盛りご飯にありつく

 

「もう、いきなり犬の方に駆け出して、心配したよ!」クーが言います。

 

「ごめん、つい。知り合いに似てたから」

 

子猫たちはクリーム色のマンションから、いつもの公園に戻って来ていました。

 

「犬に知り合いなんかいたの?」

 

チビはふふっと笑って「知り合いに似てるっていうか。とっても気が合うの。ママもいい人間で、最初びっくりされたけど、すぐにご飯のお皿を出してくれたの!クーも来ればよかったのに」

 

「僕はいいよ。そんな無謀なことできないよ。初めて行ったところでご飯をもらえるなんて、運がよかったんだよ。

 

チビは、いつもの植栽の陰に着くと毛づくろいを始めました。クーは公園のご飯の時間なので出て行きました。キー子は最近、余り帰ってこなくなりました。子猫たちはそれぞれで過ごすことがふえてきました。

 

ふう

 

翌日、チビは再びチャーリーのマンションに行きました。

 

「あ、きのうの猫ちゃんが来た」チャーリーのママは、最初からごはんを用意してくれていました。

 

「わーーっ!」山盛りの猫フードです。チビは夢中でほおばります。野良の生活では、自分だけのお皿もないし、他の猫と同じお皿なので、お腹いっぱいにならないのです。

 

ほおばっている隣でチャーリーが言います。「ねね、僕のママ優しいでしょ?僕にもいつもおいしいご飯くれるの。」「うん、そうだね。チャーリーはいいね。」「そうでしょ!そうなの」チャーリーは胸を張ります。

 

食べるのをやめて、チビは、そっと聞いてみました。「ね、チャーリー、本当はコロ丸ちゃんでしょ?」

 

チャーリーは何も答えず、にこにこして尻尾を振っています。

 

チビはそれ以上聞くのをやめました。

 

チビは、それからほぼ毎日チャーリーのもとへ行くようになりました。(続く)

ふう

 

投稿者プロフィール

古波蔵ふう香
古波蔵ふう香
猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。