チビはきょうは一匹でチャーリーのマンションへ行きました。
「わーっ、来た来た。さあ、どうぞ」チャーリーのママが待っていて、目の前に山盛りご飯のお皿を置いてくれます。「わーい!」チビは喜んでお腹を見せたり、ごろごろとママの足元で甘えたり。きょうはおかわりも出てきて、それもぺろりと平らげました。
「この猫ちゃんどうしたの?」ほかの人間もチビに注目です。人間たちは口々に「かわいい三毛ちゃんねえ」「ワンコとも仲よしなんて珍しいねえ」と言ってくれます。
こんなに人間に注目されるのは初めてで、チビはわくわくしました。きょうだいの中でも小さくて目立たなくて捨てられたし、公園でもその他大勢なのが、ここへ来るとちょっとしたアイドルです。
誰かが、「猫ちゃんも飼えばいいのに」とチャーリーのママに言うと、ママは「ふふ。チャーリーと一緒に飼っちゃおうかな」と言いました。人間にとってそれは何気ない会話だったんですが。
チビはいつもの公園の植栽に帰ってきました。
「クー!聞いて聞いてー!」喜び勇んで帰って来たチビ。
そこにはシャケがいました。チビが意識不明になったときに医者として来た赤毛の猫です。
「よ、元気そうだな。あんたはキー子ときょうだいだってな。ちっちゃいからわかんなかった。姉ちゃんはべっぴんでスタイルもいいのにな。じゃ、これで」
シャケが帰った後、チビは憤然と「何あれ!セクハラもいいところじゃん!クー、何であんなのを家に呼ぶの!」
「話があったからだよ。それより、また例のマンションに行ってきたの?」
「あっそうだ、ねえ、聞いて。チャーリーのママが飼ってくれるかもしれないの!すごいでしょ?あのマンションならここからも近いし、いつでもクーに会えるよね!」
クーは冷静に「そんなの人間の気まぐれに決まってるよ。何を真に受けてるの?
犬と猫を飼ってくれる人なんて余りいないよ。両方好きな人はとっくに飼っているよ。猫は飼われたら外に出してもらえなくて公園と行き来できないの知ってる?
大体、チャーリーってやつはそれを了解しているの?」
チビ「気まぐれじゃないよ!いつもご飯をくれるし、きっと飼ってくれるんだよ。
チャーリーはとっても気のいいワンコで、あたしたち仲よしだから大丈夫だよ!クーのひねくれ者!」
言い合いになってしまいました。しかし、この数日後、チビは自分の言った言葉をみずから覆すことになるのですが・・(続く)
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