ふうちゃん物語(51)化け猫VS三毛猫

 

「出たーーーー!!化け猫!!」ふうちゃんの叫びは声にならず、体も動きません。

 

何とかしなければ!そうだ、キーちゃんのまねをしよう!呼吸を整えると、硬直した体がほぐれました。

 

そのとき 三毛猫 少しもさわがず

 

そのとき 三毛猫 少しもさわがず

 

キー子になり切って目一杯叫びました。「何だてめえは!ぶつぶつ三味線のくせに怖いじゃない!勝手に恨むなっての!!」

 

化け猫も負けずに言います。

 

「あんたになくてもこっちにある!

 

ひとの恋路を邪魔する憎い三毛猫、猫は七代たたるが、あたしはそれ以上待ったんだ!この三味線にとり憑いてね。」

 

「恋路!?」ふうちゃんは、きょとん。

 

化け猫は続けます。「ああ。あんたの先祖の三毛猫は、あたしの恋しい相手を横取りしてぬくぬくと暮らしたんだ。あたしと相手は身分違いではあったけど幸せだった。それを・・・」

 

「ちょっと待って!先祖って!」

 

「うるさい!つべこべ言うな!」

ふう

 

化け猫が襲いかかってきたので、ふうちゃんは寝室へ走って逃げ、羽毛布団の陰に逃げ込むのと化け猫の鋭い爪が布団をひっかくのが同時でした。びりびりーーーーっ!!

 

布団が裂け、ぼわっと羽毛が出てきます。

 

ふうちゃんは逃げ込んだ拍子に壁に体当たり、その振動で掛け時計が羽毛に落下して、ばふっと羽毛は舞い上がり、あたり一面真っ白に。

 

目がくらくらするのと同時に周りが真っ白になり、ひゅんっと冷たい風が吹きました。舞い上がった羽毛が雪になり、ふうちゃんの目の前には一つの風景が見えました。

 

雪の降りしきる中、大きなお屋敷の庭に椿の木があり、今を盛りと満開なのですが、雪のせいで紅色の花がよく見えません。

 

その椿の根元に小さな子猫がいました。白に茶色のまだらで、化け猫の子猫時代のようです。背中に雪が少し積もっていますが、身動きせず、じーっとある方向を見ています。

 

視線の少し先には屋敷のぬれ縁があり、男性が正座をして、白地に黒のハチワレの子猫を抱いています。男性は着物を着て立派な身なりをしています。ハチワレはきっと男性の飼い猫だったのでしょう。

 

ハチワレもじーっと化け猫の方を見ています。

 

「そうか、これは化け猫が思い出を見せているんだ!うん、お互い見詰め合っていい雰囲気なんじゃない?」

 

ふう

 

また風がひゅんっと吹きました。今度は暖かい風でした。雪がいつの間にか桜吹雪になっていました。

 

化け猫は、子猫ではなく大人猫になっていましたが、相変わらず庭の椿の根元にいて、ぬれ縁で正座している飼い主の男性とハチワレの方を見詰めています。

 

ハチワレも立派な大人猫になっていて、飼い主の傍で化け猫の方を見ています。すると、どこかから三毛猫がやって来て、男性は三毛猫を膝の上に乗せました。

 

それを見て、ふうちゃんはあっと驚きました。その猫はふうちゃんにそっくりだったからです。模様も背格好もしっぽのずんぐりなところも・・・

 

風が吹くと桜吹雪がはらはら舞って、男性は着物のそでで三毛猫にかからないようにするのですが、猫の頭や背中に花びらが舞い落ちます。

 

「風流だね、払うのが惜しいね」そう言って花びらをとってやり、三毛猫をなでてあげると、三毛猫ものどをごろごろ言わせます。子猫も4匹やって来て、模様からするとハチワレと三毛との子供のようでした・・・

ふう

 

はっと気づくと、おうちの中でした。

 

「つまり、あの三毛猫があたしの先祖で・・・」

 

「そうだ!お前の先祖はあたしの恋しい人をとった!横取りされた上に、あたしは身分違いの恋をした罪で地獄に落とされ、地獄の劫火に焼かれ苦しみ続けているんだ!」化け猫が言います。

 

困ったな・・・ふうちゃんは言葉に詰まりました。この手の話には疎くてキーちゃんにも子供扱いされてたし・・・ちょっと考えて、

 

「いい雰囲気だったのに、何でお互い何も言わないの?きっとハチワレも思ってたんだよ。

 

身分違いなんて、お屋敷の猫だからって遠慮は要らないよ!

 

猫の恋愛は女の子からいかなきゃだめだよ!その後の出産も子育てもメスが命がけでやるんだから、猫の恋愛は女の子主導になってるんだよ!(レオの受け売り)それから、地獄なんてないの!地獄ってのは、自分でつくり出してるものなの!自分が自分を責める、その気持ちが地獄なの!(獅子パパの受け売り)」

 

受け売りだらけで反論してみました。

 

化け猫は、「え?おまえ何勘違いしてるんだい?あたし相手が猫なんて一言も言ってないじゃない」

 

ふうちゃん「え?だってハチワレが」

 

化け猫「何言ってんだよ。あたしが好きだったのは人間のご主人の方だよ」

 

「えぇ?」今度こそ言葉を失うふうちゃんでした。(続く)

ふう