ふうちゃん物語もついに50話、ここまでご愛読ありがとうございます。あと少し、頑張ります!
「うわー、外、雪降ってるよ!」お父さんが窓をあけて言いました。そのとき風がびゅっと吹いて部屋の中にも雪が舞ったので、お父さんは慌てて窓を閉めました。
ふうちゃんのおひげの先にも白いものがついて、「これが雪?」と思ったらもう水になってしまったので、ぷるぷるっとしました。
ふうちゃんは、春に生まれて秋にこのお家に来たので冬の寒さは知りませんが、さっき鼻の先をかすめた風は相当冷たかったので、何となく季節の移り変わりを感じていました。
「こんな日に出かけるのはつらいなあ」そう言って、お父さんは鍋を火にかけました。
「仕方ないね、お世話になった人だもの。ふうちゃん、初めてのお留守番だけどできるかな?一晩だけだから大丈夫だよね」
お父さんとお母さんの会話が聞こえてきて、ふうちゃんはあれっと思いました。よく見ると、小さな旅行鞄ができています。
「ちょっと待ってよ!いつからそんな話になったの!」
お母さん「ごめんねー、ふうちゃん、茨城の石田先生の道場開き10周年記念が午後からで、お祝いに行くと泊まりがけになっちゃって。あしたのお昼には帰るからね。
それと、三味線は触らないでね。ケースに入れて練習部屋に置いておくから、いたずらしたりはないと思うけど」
問題はそれです。猫かぶり三味線は、人間がいるときはいいのですが、いなくなったらどうなるか・・・
「待ってーー!ふうも連れて行ってーー!」必死でお願いしましたが、猫の言葉は通じない。
お母さん「ふふ、甘えちゃってかわいいなあ。あれ?ところで、何でお湯をわかしてるの?」
お父さん「スパゲティつくろうと思って。」「え?もう時間だよ?」「あーっ、オレ時間間違えてた!」「そうだと思った!もう行くよ!」」二人ともあたふっと行ってしまいました。
しーーーん。静まり返ったおうち。
ふうちゃんはドアを見詰め、しばらく玄関にたたずんでいました。どうしよう。あの三味線と一晩過ごさなくてはいけない。
そのころふうちゃんのご飯コーナーは玄関脇にありました。お皿にはあしたの分もご飯が入っていたので、とりあえずご飯を食べました。「ふー、落ち着いた・・・」
練習部屋の前を急ぎ足で通ると、三味線は黙っていました。「この部屋から一番遠いところにいよう」ふうちゃんは決心しました。
リビングまで行って、テーブルの上にぴょんと乗って、テーブル上のテレビのリモコンや鉛筆を床に落として遊んでいると眠くなってきました。寝室へ行って、お母さんの羽毛布団の上でしばらく眠っていました。
びぃーーーーん。
どれぐらい眠ったのか、ふと物音がしました。
びょーーーーん。
びょーーーん、びょーーん。
うーん、寝てるのにうるさいなあ・・・そこでふうちゃんははっと目が覚めました。音はリビングの方からです。そーっとリビングの方へ行くと、テーブルの上に、さっきはなかった三味線がありました!「ええっ??」
三味線から物すごい妖気が広がり、絞り出すように「おのれ・・・三毛猫・・・」と声がすると、、、
ツンツン!三味線が勝手に鳴ります。
「今さら驚くんじゃねーよ!!」
チチチン!チンチンチンチンチンチンチン!!
音楽入りで、白に茶のまだら模様の猫が姿をあらわしました。
「出たーーーーっ!!化け猫!!」ふうちゃんは恐怖の余り声も出ず、体も動きませんでした。(続く)
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- 猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。
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