ふうちゃん物語(49)猫かぶり三味線

 

「三毛猫・・・恨むぞ・・・」三味線がつぶやいているのが聞こえて、ふうちゃんはぞっとしてしまいました。

がちゃがちゃ!とドアが開きました。「ただいま!いやー、二人して財布忘れるとは・・・」お父さんでした。

 

「あれ?ふうちゃんそんなところにいると、また洗濯機の裏に落ちちゃうよ。ほら、出てきなさい。」

 

ふうちゃんは洗面所に避難していました。三味線のあるリビングから一番遠いのが洗面所だったからです。

 

ちらっとリビングに顔を向けると、もう三味線は黙っていました。

 

「じゃ、ふうちゃん、すぐ帰るからね」お父さんが再び出て行きました。

 

ばたん!ドアが閉まると、「・・・ぶつぶつ・・・」三味線がまた何か言い始めました。

 

「この三味線、人間がいなくなるとぶつぶつ始めるんだ!猫かぶりなんだ!」悟ったふうちゃんは、しばらく洗面所にいました。

 

二人は買い物を済ませて、すぐに戻ってきました。

 

ふうちゃんはそれから、できるだけ人間のそばを離れないようにしました。それまでは夜はソファの上で寝ていたのですが、お母さんの布団の上で寝るようにしたので、何も知らないお母さんは喜んで感激していました。(続く)

 

ふう

 

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古波蔵ふう香
古波蔵ふう香
猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。