「三毛猫・・・恨むぞ・・・」三味線がつぶやいているのが聞こえて、ふうちゃんはぞっとしてしまいました。
がちゃがちゃ!とドアが開きました。「ただいま!いやー、二人して財布忘れるとは・・・」お父さんでした。
「あれ?ふうちゃんそんなところにいると、また洗濯機の裏に落ちちゃうよ。ほら、出てきなさい。」
ふうちゃんは洗面所に避難していました。三味線のあるリビングから一番遠いのが洗面所だったからです。
ちらっとリビングに顔を向けると、もう三味線は黙っていました。
「じゃ、ふうちゃん、すぐ帰るからね」お父さんが再び出て行きました。
ばたん!ドアが閉まると、「・・・ぶつぶつ・・・」三味線がまた何か言い始めました。
「この三味線、人間がいなくなるとぶつぶつ始めるんだ!猫かぶりなんだ!」悟ったふうちゃんは、しばらく洗面所にいました。
二人は買い物を済ませて、すぐに戻ってきました。
ふうちゃんはそれから、できるだけ人間のそばを離れないようにしました。それまでは夜はソファの上で寝ていたのですが、お母さんの布団の上で寝るようにしたので、何も知らないお母さんは喜んで感激していました。(続く)
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