化け猫が恋い慕っていたのは、人間の主人の方でした。
猫でさえ経験がないのに、ふうちゃんは何と言っていいか。
「変わった趣味だね・・・いや、つまり、猫と人間はね」
化け猫「おまえの言いたいことはわかるよ。
猫は猫。だからあたしはご主人を見ていられるだけで幸せだったのに、お前の先祖は、まず飼い猫のハチワレをたぶらかして、まんまと飼い猫になった。そして子供まで産んで、それもご主人に世話をさせて・・・」
ふう「子供たちの面倒も?・・・優しいご主人なのね」
化け猫「ああ。野良猫にもごはんをくれる優しい人で」
ふう「あれ、化け猫ちょっと赤くなってるー」
化け猫「照れるじゃないか、よしとくれ。化け猫、化け猫言うなよ。あたしはツバキって名前があるんだよ」登場して大分たつのに、やっと名前が出ました。
ふう「ツバキ?」名前はきれいだなと思いました。
ツバキ「ご主人がつけてくれたんだよ。お前はいつも椿の根っこのところにいるねって」
ご主人に名前をつけてもらったことは、化け猫の一番大切な思い出のようでした。
ふう「ツバキもハチワレとくっついたら、ご主人、飼ってくれたんじゃない?」
ツバキ「あんな奇策は思いつかなかった。ハチワレは女にだらしなくって全然好みじゃなかったし、生理的に受けつけないタイプだし」
こうやって恋バナをしているときのツバキは化け猫ではなく、普通の猫のようだったので、ふうちゃんもつい、ずけずけと
「ご先祖の好みは知らないけど、自分が何もできなかったくせに三毛猫を恨むなんてお門違いじゃない?」と言ってしまいました。
この言葉がかちんときたようで、
ツバキ「うるさい!お前に何がわかるっていうんだ!人間に飼われて安穏と暮らして!あたしはいつもお腹がすいて生きていくのが精一杯、次の年の桜だって見ちゃいないんだ!」
ツバキは再び化け猫の形相になり、目はつり上がり、妖気を出して襲いかからんとしてきました。
ふうちゃんも負けず「いいかげんに目を覚まして!
三毛を恨んでいるって、一番恨んでいるのは何もできなかった自分でしょ!
もうミケもハチワレも、あんたのご主人も死んでしまった!もうとっくの昔のことなの!あんただけが同じところをぐるぐる回っているの!」
ツバキ「うるさい!おまえも地獄の劫火に焼かれてみろ!」そう言うや否や、部屋一面に炎が立ち上り、真っ黒い煙が充満し、足元は熱く熱せられた岩になりました。
「あちちちっ!」肉球がやけどしそうで、体を支えられません。げほげほ、ふうちゃんは煙にむせてしまいました。(続く)
ふうちゃん、いるかなー?いたいた!
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- 猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。
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