ふうちゃん物語(53)焼き猫にしてやる!

 

「おまえも地獄の劫火に焼かれてみろ!」化け猫がそう言うや否や、部屋一面、真っ赤な炎が立ち上り、煙が充満、足元は熱く熱せられた岩になりました。

げほげほ!激しく咳き込み、涙目になって顔を上げると、いつの間にか山の中にいて、木も岩も草も燃えていました。どこかに逃げ込もうと思っても逃げ場がありません。

 

ごごご・・・何か変な音がするので顔を上げると、崖の上から火のついた大きな岩ごろごろとが幾つも自分めがけて転がってくるので、驚いて必死でよけます。

 

その間に、耳も尻尾にも火がついたようで、焦げたにおいがしてきました。肉球ももう火傷でひりついています。

 

「待て三毛猫、焼き猫にしてやる!」ツバキは、さっきまで恋バナをしていた猫と打って変わり、化け猫の形相になり、目もつり上がり、大きく裂けた口で言い放ちました。「黒焦げ猫になっちゃう!」必死で逃げますが、だんだん息が上がって、ふらふら。

 

「飼い猫になってから運動不足だったツケがこんなところで・・・いたっ!」何かに蹴つまずいて、簡単にこけてしまいました。その拍子に足もくじいてしまい、動けなくなりました。

 

蹴つまずいたのは、テレビのリモコンでした。ふうちゃんははっとしました。たしかテーブルの下に落とした・・・

 

ということは、ここはリビングなんだ、ご主人との思い出と同じく、化け猫の心の中を見せられているんだ。早く現実に戻らないと殺されてしまう!でも、どうすればいいんだろう?

 

「三毛猫、息の根をとめてやる!」化け猫が鋭い爪で襲いかかってきました。(続く)

ふう

 

 

 

 

 

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古波蔵ふう香
古波蔵ふう香
猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。