「ねえ、お母さん、子猫たちみんな、引き取り手が見つかるまでうちにおいてあげて。」
日曜日、あずさが一生懸命お母さんにお願いしていました。
「ごめんね、そのつもりだったんだけど、おじいちゃんがああなっちゃって、来週には猫たちがいる和室に介護ベッドも入るし」
近県に住むお母さんのお父さん、つまりおじいさんが春に体調を崩し、急遽あずさの家で暮らすことになったのでした。
「絶対見つけるから!」あずさは決意を新たにしました。
それから数日後のある夜、母猫のミー子は、子猫たちの毛づくろいをしながら、静かに話しかけました。
「子供たち、よく聞くんだよ。」
キジトラのキー子はおっぱいを飲んだ後で、うとうとしていました。ミー子はキー子の頭をぺろぺろしながら言いました。
「人間には二種類いる。ご飯をくれる人間と、そうじゃない人間だ。
猫は、ご飯をくれる人間だけを信じる。
信頼すると、それが人間に伝わって、もっとたくさんご飯をくれるかもしれないからね。」
次に、三毛猫のみゃー子の顔をぺろぺろしながら言いました。
「でも、忘れないで。
あたしたち猫には、小さいけど鋭い爪も歯もある。すばしっこい足もある。
いざというときは、人間じゃなくて自分を頼るんだよ。」
みゃー子は、ママからなめられるのがくすぐったくて、嬉しくてじゃれてきました。みゃー子は生まれつきとても愛嬌があって人馴れしているので、あずさの友人のレナに引き取られることが決まっていました。
その次に、ミー子は白黒猫のクーをぺろぺろしました。クーとチビ(後のふうちゃん)は、キー子とミャー子に比べると一回り小さく、やせっぽちでした。
「クー、ちびを守ってね」
クーはじっと聞いていました。もともと物静かなクーでした。
最後にチビをぺろぺろしながら言いました。
「チビちゃん、クーの言うことをよく聞いてね」
「うん、ママ、そうする」
チビ、ふうちゃんは実は一番ママに似ていたのですが、このころは体も小さく、目ばかりぎょろぎょろした子猫でした。
4匹はみなそれぞれ模様は違っても、首からお腹にかけて真っ白なところだけはママそっくりで、お揃いでした。
少し蒸し暑い夜でした。ミー子はかわるがわる子猫たちをなめてきれいにしてあげました。クーを一番長くなめていたのは、子猫の中で唯一の男の子だったからでしょうか。
初夏の強い日差しの中、3匹の子猫たちは公園にいました。(続く)
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- 猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。
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