ふうちゃん物語(2)ママの言いつけ

「ねえ、お母さん、子猫たちみんな、引き取り手が見つかるまでうちにおいてあげて。」

日曜日、あずさが一生懸命お母さんにお願いしていました。

「ごめんね、そのつもりだったんだけど、おじいちゃんがああなっちゃって、来週には猫たちがいる和室に介護ベッドも入るし」

近県に住むお母さんのお父さん、つまりおじいさんが春に体調を崩し、急遽あずさの家で暮らすことになったのでした。

「絶対見つけるから!」あずさは決意を新たにしました。

 

ふう

それから数日後のある夜、母猫のミー子は、子猫たちの毛づくろいをしながら、静かに話しかけました。

「子供たち、よく聞くんだよ。」

キジトラのキー子はおっぱいを飲んだ後で、うとうとしていました。ミー子はキー子の頭をぺろぺろしながら言いました。

「人間には二種類いる。ご飯をくれる人間と、そうじゃない人間だ。

猫は、ご飯をくれる人間だけを信じる。

信頼すると、それが人間に伝わって、もっとたくさんご飯をくれるかもしれないからね。」

次に、三毛猫のみゃー子の顔をぺろぺろしながら言いました。

「でも、忘れないで。

あたしたち猫には、小さいけど鋭い爪も歯もある。すばしっこい足もある。

いざというときは、人間じゃなくて自分を頼るんだよ。」

みゃー子は、ママからなめられるのがくすぐったくて、嬉しくてじゃれてきました。みゃー子は生まれつきとても愛嬌があって人馴れしているので、あずさの友人のレナに引き取られることが決まっていました。

その次に、ミー子は白黒猫のクーをぺろぺろしました。クーとチビ(後のふうちゃん)は、キー子とミャー子に比べると一回り小さく、やせっぽちでした。

「クー、ちびを守ってね」

クーはじっと聞いていました。もともと物静かなクーでした。

最後にチビをぺろぺろしながら言いました。

「チビちゃん、クーの言うことをよく聞いてね」
「うん、ママ、そうする」

チビ、ふうちゃんは実は一番ママに似ていたのですが、このころは体も小さく、目ばかりぎょろぎょろした子猫でした。

4匹はみなそれぞれ模様は違っても、首からお腹にかけて真っ白なところだけはママそっくりで、お揃いでした。

少し蒸し暑い夜でした。ミー子はかわるがわる子猫たちをなめてきれいにしてあげました。クーを一番長くなめていたのは、子猫の中で唯一の男の子だったからでしょうか。

初夏の強い日差しの中、3匹の子猫たちは公園にいました。(続く)

ふうちゃん