ミャー子は、カーテンの陰で小さくなって後悔していました。
何でこんなおうちに来ちゃったんだろう・・・この先ずっとこんななの?
レナ、早く帰ってきて!早く、早く・・・
ふと、母猫のミー子が最後の夜に言った言葉を思い出しました。「いざというときは、人間じゃなくて自分を頼るんだよ」
ママ、でもどうすればいいの?先住猫は二匹もいるし、喧嘩しても勝ち目はないよ。
ママに会いたい!ママ!
とそのとき、ふわっと風が吹いてきて、レースのカーテンが揺れました。振り向くと、夏が近いのでベランダの掃き出し窓が少しあいていて、子猫の小さな体はするりと通り、ミャー子はベランダに出てしまいました。
外の空気を吸うと、何かせいせいしたような気分になりました。
そして子猫は、隣のベランダとの境の仕切り板の下を通り、ベランダ伝いに隣の部屋、そのまた隣の部屋へ行き、何も知らないその部屋の人が驚いて、その人は猫嫌いなものだから「しっしっ、どこかにお行き」と部屋の玄関をあけて追い出され、そのまま非常階段の方へ。
その後はどうやって歩いたのか、いつの間にか地上に出ていたというわけです。
しばらくあちこち歩いたミャー子でしたが、お腹はすくし、酔っ払いに蹴られそうになって怖い思いをするし、今いる茂みにたどり着いたころには、くたくたに疲れ切っていました。
どこにも行き場もないし食べ物もない。ミャー子は、思わず大声で鳴いていました。お腹すいたよー!誰かご飯ちょうだいよー!ママー!
すると、茂みの奥から、「あらあら・・・」と、くすくす笑う声が聞こえてきました。(続く)
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- 猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。
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