チビはどんぐり林の神社の前で発見されました。その周りに猫たちが集合して大騒ぎ。久しぶりなので猫長屋のメンバーみんな出ます。覚えているかな?
「医者だ!医者を呼べ!チビちゃん、死ぬなぁーー!」チョボが大慌て。とっちらかった顔がますますとっちらかる。
クロ「何だってこんな遠いところで」
チョボ「かくかくしかじか、母猫に追いかけられて木に登ったところ、運悪く落ちて川に流されちゃって、クーと急いで探したんだけど見つからなくて・・・そうしたら、帰りが遅いんで心配して来たレオとキーちゃんが見つけて・・・」
レオ「神社の前に倒れてたんだよ」
クー「チビ、しっかり。ねえチビの体が冷たいよ」必死でなめたりさすったり。
猫に医者はいないのですが、すぐさまシャケと呼ばれる赤毛のオス猫が呼ばれ、この猫は事故で片目が見えなくなったのですが、他の感覚はかえって鋭くなったので、こういうときに頼りにされています。
診察をすると、「ふん。別に死んではいないようだな。ただ意識が戻らないと何とも・・・」と無愛想に言いました。
「チビちゃん!死なないでくれ!死ぬ前に一度でいいからお父ちゃんと呼んでくれー!」クーとキー子「お、お父ちゃん??」
チョボ「そうなんだよー、誰が何と言おうとチビちゃんはオレの娘だよぉ〜お父ちゃんをおいて死ぬなよぉ〜」チビの体をさすりながら泣きます。
サビが「チビのおっかさんも、まあ、守備範囲が広いというか・・・」目の先で笑ったのがキー子の気に障ります。「ちょっと!どさくさに紛れて変なこと言わないで!チビのお父ちゃんってことはあたしたちの父親ってこと!?そんなの許さないからね!」怒る怒る。
「うぅ〜ん、もお、うるさいなあ・・・」チビがうっすら目をあけました。猫たちは狂喜乱舞。
「チビちゃーん!生きてたのか!」
「あれ・・・?ここどこ・・・?」
「記憶喪失か!心配するな、オレがお父ちゃんだよ!」その直後、チョボはキー子とクーから同時に猫パンチをお見舞いされました。
クー「チビ、大丈夫?すぐに起きないで。気持ち悪くない?」「あ、クーだ。大丈夫。私どうしてここにいるの?」
チョボ「川に落ちたの覚えてる?」
キー子「大体、何で川に落ちるんだよ。あんたがこんなところ連れてこなきゃ、追いかけられて川に落ちることもなかったのに」チョボはしょんぼりしてしまいました。
クロ「チョボも反省しているんだ、お前は言葉がきついよ」今度はキーちゃんがしょんぼり。
チョボ「いや、ここを通ったとき、狛犬のところでババ猫が二匹、のんびり茶飲み話しててさあ、この辺の猫は温和そうだなと思ったから、まさかしつこく追いかけるやつがいるとは・・・」
タビ姐さん「ババ猫が二匹かい?神社にいる姉妹の猫は神様の使いと言われているんだ。めったに見ないけど。きっと何かご利益があったんだよ」
クロ「姉妹猫って聞いたことあるけど、実際あるのかい?」
横になったまま猫たちの会話を聞きながら、チビの心はまだ獅子の谷と現実のあわいにありました。あれは夢だったのかなあ・・・コロ丸は、獅子パパは、あの高い空は・・・ふと気がつくと、みんなの肩越しに狛犬と目が合い、狛犬がチビにだけわかるように、ぱちっとウインクをしてきました。
「うふふふっ」思わず笑うチビ。
「あれ?笑ってらあ」みんなあっけにとられ、「大丈夫そうだからまあいいか」ということで、一同解散。
その日の晩、チビはいつものようにきょうだい一緒に眠りました。キー子とクーに挟まれて、クーの背中に頭をつけるて寝るのがお気に入り。「あー、やっぱりここが幸せー」(続く)
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- 猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。
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