ふうちゃん物語(37)泣かないで、チャーリー

 

チビとクーが喧嘩した翌日、チャーリーは散歩に出てきませんでした。

 

「ちょっと風邪ひいたみたいで・・・」ママが他の人間と話しているのが聞こえました。

 

ご飯をもらいながら、チビは、チャーリーと飼われることになったら、チャーリーが散歩に行っている間、自分は公園に帰ろうかなとか考えていました。

 

3日後、チャーリーは散歩に出てきました。

 

「もう大丈夫?」「うん。」元気そうでした。

 

チャーリーは、チビがご飯をほおばるを見ながら、「おいしい?」と聞いてきました。「うん!ママのご飯、毎日おいしいよ」

 

チャーリー「野良ってお腹すくよね」

 

チビ「チャーリーも野良だったの?」

 

チャーリー「うん。

 

僕、産んでくれたママのことも、きょうだいのことも覚えてないの。気がついたらペットショップにいて、ご飯もらってたのが一番古い記憶。僕って食い意地張ってるよね。店員さんに「早く大きくなあれ」って言われたから、生まれたばかりの僕は一生懸命食べたよ。

 

ショップでは小さなケースに入れられて、大勢の人間が覗き込んでくるんだ。僕は、この人がママになってくれるのかな?この人かな?って一生懸命、尻尾を振ったよ。みんな僕をなでたり「かわいい」って言ってくれたけど、そのまま帰っちゃう。

 

そのうち、「これ以上大きくなったらショップに置いておけない」って言われたの。僕、いつまでたっても買い手がつかなかったからね。今度は僕、大きくならないように、なるたけ食べないようにした。でも、結局捨てられちゃったの。

 

ふう

 

寂しかったよ・・・お腹も減るし・・・。あのときはつらかった。

 

運よく保護されて、僕を引き取ってくれたのが今のママなんだ。ご飯をくれて、なでてもらって抱っこされて、本当に嬉しかったよ。

 

僕はワンコだけど、警察犬や盲導犬になるやつらみたいに、大きな体も自分を守る牙も持ってないの。生まれるとき、ひたすら人間にかわいがられなさいって神様に言われたんじゃないかな。

 

人に飼われるってね、ご飯をもらうだけじゃなくて、人間の愛を知ること、愛をもらうことなんだ。もちろん、僕からの愛がママを元気にしてるといいな。

 

一旦愛されることを知ってしまうと、ご飯だけでは足りない気持ちになるんだね。

 

そして、時に人間からの愛がご飯よりエネルギーになるときがあるんだ。

 

だから、ママの関心が、全く僕に向いていないっていうんじゃなくて、ほんの少し、角度が違うっていうのかな、僕の方に顔を向けてはいるけど、ほんの少しずれているだけでも・・・ほんの少しだとわかってはいるんだけど・・・」

 

そこまで言って、チャーリーはぽろぽろ涙を流しました。

 

ふう

「チャーリー・・・」

 

チビはわざと明るく、「もう、チャーリー、この間のこと気にしてるの?確かにママ、チャーリーとあたしを一緒に飼っちゃおうかなって言ったけど、そんなの真に受けちゃったの?

 

全っ然そんなの思ってないから!今はこうしてチャーリーのママからご飯もらってるけど、あたしも前は飼い猫だったし、保護されていいところに行って、もっともっとお腹いっぱい食べようと思ってるんだってば!」

 

チャーリーは目をくるんとさせて、「えっ?そうなの?そうだったの?」

 

「そうだよ!勘違いだってば!」

 

「そうだったんだ!ごめんね、僕、だらしないところ見せちゃって。ママがチビちゃんのご飯のことばっかり心配してるから・・・」

 

そのときのチャーリーのほっとした表情を見て、チビは複雑でした。クーの言った通り、チャーリーの気持ちを一番に考えないといけなかったのでした。(続く)

ふう