翌日、チビはチャーリーのマンションへ行き、いつものようにご飯をもらいました。きょうのご飯はササミをゆでてほぐしたもので、チビの大好物でした。
チビは嬉しくて、チャーリーのママの足にすりすりしましたが、人間の方から触れられるのは拒むという慎重な態度は変えませんでした。ママも無理に触ろうとはしませんでした。
その帰り道・・・「チビ、いいものもらってるんだね」不意に声がしてびっくりして振り向くと、キー子がいました。
チビ「キーちゃん、見てたの?」
キー子「うん。後ろをついていったの、気がつかなかった?チビがどこでご飯をもらっているか知りたくて。
あの人間は随分かわいがってくれるね。最近のチビの毛づやを見ればわかるよ。でも、チビは少し冷たいね。一切触らせないようにしてるのね。これから飼い猫になるんなら、もう少し愛想よくすれば?」
チビ「まだ飼い猫になるって決めてないもん」
キー子「まだそんなこと言ってるの?じゃあ、あたしがかわりに保護されようかな」
チビ「キーちゃんにはクロがいるでしょ。」
キー子「あんなの関係ないよ。決めた!一緒に保護されようよ。公園から出ようよ」
チビ「ええ??」意外な展開でした。
いろんなことが一気に押し寄せたので、チビは混乱していました。草むらに隠れてぼーっと夕焼けを見ていたつもりが、夜になっていました。「あれ?いつの間に・・・はああ・・・」ため息をついていたら、「何ため息ついてるの?」とレオが通りかかりました。
チビ「何でこうなっちゃったんだろう・・・」チビは今までのことを話しました。レオはきょうもふわふわ、つやつやの毛皮。チビの話に静かに耳を傾けてくれました。
チビ「クーもキーちゃんも、私が飼い猫になる前提でどんどん話を進めてるの。クーは、私のお守りから解放されるって言っているし、キーちゃんは便乗しようとしているし。勝手だよね。
でも、一番バカなのはあたしかもしれない。
チャーリーのママへの気持ちを知ったら、ちょっとだけ、人に飼われるのはいいかもしれないと思ったの。
あのとき、自分はずっと野良でいるって言えばよかった、言わなきゃいけなかったんだよね。
本当は、ずっとクーと公園にいたいし、飼い猫でやっていく自信もないし・・・」
レオはチビの顔をぺろっとなめて、「おやおや、「ずっと」とか「しなきゃいけなかった」とか、ワンコみたいなことを言うね。
三日坊主、思いつき、気まぐれ、気分次第っていうのは猫の専売特許だよ。
ずっと、とか、しなければならないっていうのはお仕事のことで、お仕事は犬の守備範囲だけね。ご褒美とか責任もね。
もちろん、ご飯を多くもらうためには猫も多少は我慢するし、バランスの問題なんだけどね。最近ワンコと付き合ってたから、「ずっと」とか「しなきゃいけなかった」なんて頭になっちゃうんだろうね。
今も十分幸せなのに、新しい世界が気になるのはどうしてだろうね?気になるなら、やればいいさ、飼い猫ってものをね。
うまくいかなければ、さっさとやめればいいだけ。僕みたいにね。いつでも公園に戻ってくればいいよ。
不安があるのは、チビちゃんがまだ経験が少ないってことだから仕方ないんだよ」そう言ってチビの顔をぺろぺろなめてくれました。
「そうか、いつでも飼い猫になっていいし、野良猫になっていいのか・・・」(続く)
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- 猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。
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