ふうちゃん物語(45)消えた猫

 

「あの人間たちは三味線に張る皮のために猫を飼ったんだ!」ふうちゃんは大ショック。

あの優しそうなお父さんとお母さんが・・・にわかに信じがたいことでしたが、ともかく逃げなければ。

 

「ありがとうございました!お気をつけて!」お稽古が終わって、玄関で師匠を見送るお母さん。

 

くるっと振り向くと、部屋が静まり返っていて、

 

「あれ?ふうちゃんがいない」いつも三味線を弾くときはドアの前にいるのに・・・お母さんが部屋の中を探してみると、ソファの裏にいました。

 

「何で隠れているの?」「にゃーん」

 

腰が抜けて動けないのでした。

ふう

 

「とほほ・・・次に師匠が来たら、あたし、皮をとられて3枚におろされているかもしれないっていうのに、全く・・・」ふうちゃんが情けながっているとき、

 

再びピンポーン、ガチャガチャ!ドアが開いて再び師匠が登場!猫びっくり!

 

「済みません!お稽古代・・・」

 

「あーーっ!お支払いするの忘れてました!済みません!」

 

ってなやりとりの後、お母さんがもう一度部屋に戻ってみると、今度こそ猫の姿は消えていました。(続く)

 

ふう

 

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古波蔵ふう香
古波蔵ふう香
猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。