ふうちゃん物語(46)猫、籠城す

「ただいまー」お父さんが帰ってきました。「ふうちゃんは?」

 

「それが、お稽古終わってから姿が見えなくなったと思ったら・・・」

 

猫は洗濯機の裏に落ちていました。逃げようとしたものの、マンションで逃げ道がなく、うろうろした挙句落ちてしまったようです。

 

「わー、よくこんな狭いところに・・・埃がいっぱい!よしよし、洗濯機をどけてあげるからね。あれ?出てこないなあ。出てこないよ」

「あたしを三味線にするなー!」「動物虐待はんたーい!」人間ならこんなシュプレヒコールをするかもしれませんが、猫なので黙って籠城していました。

 

「お腹すいてきた・・・」

 

結局、反対運動は半日で終わり、ふうちゃんが出てきたときは夜になっていました。

 

ご飯をもりもり食べて部屋の中をうろうろしていると、ふと秘密の部屋のドアがあいているのが見えました。

 

部屋の奥には三味線が置いてあります。

 

そーっと部屋に入って、話しかけてみました。猫の皮なら、何か言うはず。

 

「ねえ、もしもし、失礼します、もしもーし」(続く)

ふう

 

 

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古波蔵ふう香
古波蔵ふう香
猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。