季節は秋、チビたちの公園にもコスモスが揺れています。
「わあ、ことしはきれいに咲いたわね」タビ姐さんが来て、花に顔を近づけて香りをかいだり、花びらをかみかみしたり。
タビ姐さんはクロの姉だけあって毛皮は黒いのですが、足先だけが足袋を履いたように白いのでその名がついています。少し小柄で、全体に粋な感じなのは、昔日本舞踊の師匠に飼われていたからだとか。
「あら?」コスモス畑の向こうにキー子とクロがいるのが見えました。「あの子たちどうなってるのかしら?
猫の恋愛って、実はメスが全部お膳立てしてるんだけど、主導権はオスにあるようにするのが面倒なのよね。クロは気がきかないし、キーちゃんもその辺まだわかんないだろうし・・・大丈夫かしら」そろりそろりと近づき、聞き耳を立てます。
姐さんはまだ若いのですが、自分の恋はちょっとお休み。最近の関心は、専ら弟のお相手です。女も年をいってくると他人の縁談をまとめたがるのは、人間も猫も変わらないみたいです。では、キー子とクロの会話と、タビ姐さんの心の声の副音声つきでお楽しみください。
クロ「聞いたぞ。飼い猫になるんだってな」(タビ;何それ?初耳よっ!)
キー子「まあね」
クロ「シャケが寂しがるぞ」(タビ;自分が寂しいのに、ほかのオス猫出す?)
キー子「関係ないよ、あんなの。」(タビ;ほら、キーちゃん顔がこわばって)
キー子「でも、あたし、今さら飼い猫できるかな。ほら、がさつだし、喧嘩っ早いし」(タビ;引きとめてほしいのよね)
クロ「いや、猫の中には野良しかできないやつもいるけど、お前は子供のころ飼い猫だったから、大丈夫だろう」(タビ;はああ??)
キー子「・・・!もういいよ!」キー子は悲しそうな目でクロの方をちらっと見て、走って行ってしまいました。クロはキー子の後ろ姿をぼーっと見ていると・・・「ちょっと!何で引きとめないの!」いきなりタビ姐さんが出てきました。
「わぁっ!姉ちゃんまさか聞いてた!?」「んもー、バカねー!何で一言、行くなって言ってあげないの!」
「え!?だって飼い猫になるって言ってたから!」「女の言葉をそのまま受け取るんじゃないわよ!」「知らねーよ!」きょうだい喧嘩は延々と続くのでした。
チビ「キーちゃん、飼い猫になるって言ったけど、本当にそれでいいの?」
キー子「うん、もう気持ちは決まったから。あたしもチャーリーのママに頼んでみる」
二匹は一緒にチャーリーのマンションに向かいました。(続く)
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- 猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。
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