ふうちゃん物語・夏(6)嫉妬の嵐、吹きまくる

ふうちゃん「にゃーお」

ふう香「なあに?ふうちゃん」

ふう「ねえ、ふうちゃん、いつ出るの?これ、ふうちゃんの物語だよね?」

ふう香「もうすぐ出番だよ。はい、台本渡しておくから練習してね」

ふう「わーい!ぶつぶつ・・・完璧!」

ふう香「もう覚えちゃったの?北島マヤか!」

ふう「あー、疲れたー」ごろん。ふうちゃんは寝始めましたとさ。

というわけで、ふうちゃん物語・夏!!

「かんぱーい!!お疲れさまー!」

渡店長、ふうちゃんのお父さん、えりぃ、マナ、ショップの店員たちは、本日の慰労会で居酒屋に来ていました。

「いやあー、一時はどうなるかと思ったけど、大盛況だったよねー」

「済みません、店長。もとはと言えば、台風が来るってわかっていながら当日の午前に移動してるからで・・・」おくれて到着したえりぃは恐縮しまくりで、きれいにお化粧した目元を曇らせました。

「まあ、この台風の進路もわかりにくかったしね」お父さんが言います。

「それにしても、マナちゃんにはびっくりしたねぇ。急に歌い出すんだもん。」話題は自然にマナになります。

「最後の「ジントーヨーワルツ 」ほんと俺びっくりしたよ。事前に何歌うかも聞いてなかったんだけどね。あの歌、かなり前でしょ。適当にごまかすこともできたんだけど、うーんって考えたら一瞬思い出して、ああー三線弾くのが俺でよかったーって思ったね」

伴奏した金城さんの言葉でみんなはどっと笑いました。金城さんは50過ぎのおじさんで、音楽好きの余り三線屋さんになった人です。

「あの曲、うちの親が好きで、よく聞いてたんです」

「親!そうだよねー、そのくらい古いよねー」ふうちゃんのお父さんにとっては20代のころの曲・・・なので、改めて時間の流れを感じるのでした。

「マナちゃん、あんなに上手だとは・・・今度カラオケ一緒に行きましょう!」泡盛コーナーの与那覇君だけでなく、あの歌声には一同本当に感心しきりだったのですが・・・えりぃだけが素直にうなずけませんでした。

えりぃがかけつけたときは、マナが歌い終わる直前でした。その澄んだ声とお客さんの拍手・・・後に歌った自分はファンから声援ももらったけど・・・一見のお客さんがどちらに強い印象を持ったかは明らかでした。雨がやんだからと、自分の歌の途中で帰る人が大勢いたのです。

「こんな上手な子がいたんだ・・・なのに、この子、ただの店員なの?」

マナは、みんなに賞賛されても、淡々として、謙遜もせず得意ぶるわけでもなく「そうかな?」という程度のもので、そんなマナを見て、えりぃは嫉妬せずにはいられないのでした。

その様子を見て、かりゆしウェア担当の小杉さんが話しかけました。

「ねえ、えりぃちゃんってかわいい名前、「ちゅらさん」からつけたの?」

 

ふう

ふうちゃん考え中〜?

 

 

 

 

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古波蔵ふう香
古波蔵ふう香
猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。