チョボは、チビたちのところからの帰り道、さっきの広場で黒猫に報告をしていました。
「・・・というわけで、キー子は少々疲れていましたが、元気そうでした。子猫の出身地、母親は不明です。」
黒猫「お前の報告は相変わらず中身がないな。もういい。下がれ!」
「す、すんません・・・じゃクロの大将、これで」チョボはぺこっと頭を下げて帰って行きました。
クロは、このあたりを仕切っているオス猫でした。クロはサビ猫に向かって言いました。
「お前もきょうは派手にやったな」
サビは「だって、春から夏にかけてはあちこちで子供がふえて食い扶持が減るから困るって、この前クロさんが言ってたじゃないか。」
「子供相手に喧嘩しろとは言ってない。」
「ちょっと脅すつもりだったんだよ。だけどあんまり生意気だからさぁ」
「あんなに長時間も」
「わかってるよぉー、もういいじゃないか。」
サビ猫は周辺にほかの猫がいないのを確認してから、ちょっと鼻にかかった声で言いました。
「それよりさあ、ここ、けがしちゃったみたいなんだけど、ちょっと見てくれない?」
わざとクロにすり寄り、耳の後ろを見せるのですが・・・と、そのとき、いきなり草むらの陰から別の猫の声がしました。「どうもなってないよ!もうお帰り!」
サビ猫はびっくり仰天すると、そこに、クロと同じ黒猫ですが、足先だけが靴下を履いたように白い猫がいました。
「た、タビ姐さん!」
「大立ち回りをした割には元気そうじゃないか。」
「はあ、まあ・・・」決まりの悪いサビでした。
クロ「今帰ったのか」「ああ、結構時間かかっちまったよ」
タビ姐さんは情報収集に出かけていたのでした。
タビ「A地区のしろがねアパートだけど、取り壊しが決まったそうだよ。」
クロ「あのおんぼろの、別名シロアリ荘ね。あそこは大家のばあさんが猫の多頭飼育をして、狭いアパートに20匹近く詰め込まれていたな。近親で子供をつくるわ、病気は撒き散らすわでどうなるかと思ったが・・・」
タビ「大方は保護団体に保護されたけど、少し逃げたやつがいるらしいよ」
「そいつらが来たら脅かしてやる!」サビが声を出すと、
タビ「まだいたのかい!さっさと帰りな!」
サビはすごすご帰って行きました。
その後ろ姿を見ながら、タビ姐さんが言いました。「クロ、サビとの子供だけはつくらないでおくれ。お姉ちゃん、下品な子嫌いなの。」
「姉ちゃんには関係ないだろ!」
「大ありだよ。あんな子にお姉様〜って呼ばれるのは虫唾が走る。産んだ子猫と血縁になるんだもの。」
「俺だって選んでるよ、ほっといてくれよ!」
クロとタビ姐さんはきょうだい猫で、きょうだい喧嘩は夜通し続くのでした。
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- 猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。
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