ふうちゃん物語(11)レオのえさ場へ

レオは約束通り「おれのえさ場においでよ」と誘ってくれたので、ある日の夕方、チビとクーは、レオと、普段は来ない、公園の反対側の方に向かっていました。

美猫のレオは、きょうも、長い毛並みがふさふさ輝いて美しく、道すがら「わーっ、きれいな猫!」とか「レオ様どちらへ?ご一緒していい?」とか周りの猫や人間の気を引くので、一緒に歩くチビは気恥ずかしくて仕方ありません。

レオはその都度、「やあ」とか「またねー」とか普通に愛想よく答えています。

クー「レオって人気だね。何かコツがあるの?」

レオ「誰にでも愛想よくすることかな?さあ、えさ場までもう少しだよ」

マンション近くの茂みを通ったとき、レオが急に足をとめて、「あ、バイオリンだ。結構うまいね。」と言いました。

子猫たちも歩みをとめて耳を済ますと、確かに何か聞こえます。

チビ「これがバイオリンっていうの?」

レオ「そう。僕、バイオリンの先生のところにいたから音色がわかるんだ。猫は耳がいいからね」

チビ「あのね、私、目をつむると、耳の奥でときどきこんな楽器みたいな音が聞こえてくるの。深くて、落ち着く・・・うまく説明できないんだけど・・・」

レオ「何だろうね。

バイオリンの先生のところにロシアンブルーの先住猫がいてね、そいつが同じこと言ってたよ。音楽とは無縁だったのに、子猫のときから、そうやって耳の奥でバイオリンの音が聞こえていたんだって。

猫のテレパシーはときどき未来の情報もキャッチするから、チビちゃんに将来縁のある音かもね。」

チビ「そうなのかな?」将来、と言われてもピンときませんでした。

チビ「ところで、レオは何でまた野良に戻ったの?」

レオは美しい顔でふふっといたずらっぽく笑いました。(続く)

ふうちゃん