ふうちゃん物語エピローグ2 ミャー子の巻

 

ミャー子は窓際に置かれたベッドの上で外を見ていました。

 

保護されて1年余り・・・ミャー子の飼い主は若い夫婦で、子供はまだいませんでした。ミャー子はすっかり大人猫になっていました。野良だったころに比べ毛並みはつやつやと輝き、ちょっと太めなのがまた愛らしい三毛猫に成長しました。

 

「ただいまー」玄関の方でお父さんの声がしました。出張に行っていたお父さんが1週間ぶりに帰ってきたみたいです。「おかえりなさーい。あら・・・」お母さんが出迎え、何か話しているようです。

 

ミャー子はお出迎えはせずに、ベットの上でうとうと。「帰ったよ、ミャー子」なでてくれるお父さんの腕にじゃれついて、寝返りを打ちました。

 

「ミャー子、お土産というか、これなんだけど」

 

突然、ミャー子のベッドに小さな子猫が置かれました。子猫はぶるぶるふるえて、小さな声で鳴いています。

 

ふう

 

「大丈夫かな?」「うーん、出張に行って子猫を連れて帰るとは・・・」お父さんとお母さんのヒソヒソ声が聞こえます。

 

出張からの帰りに友人宅を訪ねたお父さんですが、その友人は困り果てているところでした。というのも、少し前に野良猫を飼い始めたら、その猫は実は妊娠していて、あっという間に子猫を四匹も生んでしまったからです。

 

「ペット不可のマンション住まいで、大家に頼んでやっと一匹飼えるようになった矢先のことで、必死に引き取り先を探したけどダメで、最後は実家に泣きついたんだけど、さすがに四匹は・・・ってときにオレが来たって」

 

お父さんは、半ば人助け?猫助けで子猫を引き取ることに。

 

「こちらも猫の可愛さは十分わかっているから無下に断れないし、まあミャー子はしっかりしているから大丈夫だと思うんだけど・・・」

 

ふう

 

突然あらわれた子猫にミャー子は少し驚き、子猫をくんくんしました。

 

その子猫は、生まれつき体からほのかに花の匂いがして、きっと花に縁のある猫なんだろうと「ハル」と名づけられていました。

 

「この香りは・・・」知っている香りでした。ミャー子の心に、「母さん」と過ごした秋の記憶がよみがえります。

 

ハルは、ミャー子が体をなめてあげると、安心して「ママ、ママ」と寄り添ってきました。

 

「何か大丈夫みたいね」お父さんもお母さんもほっとしました。

 

ふう

 

それから2か月後・・・

 

ミャー子は、ハルのことが大事で、起きているときはいつも傍にいて、眠る時は抱いて眠りました。

 

「最初はどうなるかと思ったけど、心配要らなかったね」「さすがミャー子、ハルはまだミルクが必要な時期だったからミルクはあげたけど、それ以外は立派に母親をやってくれて」

 

親子以上に仲のよい二匹を見て、お父さんとお母さんも幸せな気持ちになるのでした。

 

ふう

ふうちゃんと菊之露。切り貼りみたいですが笑

 

 

 

投稿者プロフィール

古波蔵ふう香
古波蔵ふう香
猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。