ミャー子は窓際に置かれたベッドの上で外を見ていました。
保護されて1年余り・・・ミャー子の飼い主は若い夫婦で、子供はまだいませんでした。ミャー子はすっかり大人猫になっていました。野良だったころに比べ毛並みはつやつやと輝き、ちょっと太めなのがまた愛らしい三毛猫に成長しました。
「ただいまー」玄関の方でお父さんの声がしました。出張に行っていたお父さんが1週間ぶりに帰ってきたみたいです。「おかえりなさーい。あら・・・」お母さんが出迎え、何か話しているようです。
ミャー子はお出迎えはせずに、ベットの上でうとうと。「帰ったよ、ミャー子」なでてくれるお父さんの腕にじゃれついて、寝返りを打ちました。
「ミャー子、お土産というか、これなんだけど」
突然、ミャー子のベッドに小さな子猫が置かれました。子猫はぶるぶるふるえて、小さな声で鳴いています。
「大丈夫かな?」「うーん、出張に行って子猫を連れて帰るとは・・・」お父さんとお母さんのヒソヒソ声が聞こえます。
出張からの帰りに友人宅を訪ねたお父さんですが、その友人は困り果てているところでした。というのも、少し前に野良猫を飼い始めたら、その猫は実は妊娠していて、あっという間に子猫を四匹も生んでしまったからです。
「ペット不可のマンション住まいで、大家に頼んでやっと一匹飼えるようになった矢先のことで、必死に引き取り先を探したけどダメで、最後は実家に泣きついたんだけど、さすがに四匹は・・・ってときにオレが来たって」
お父さんは、半ば人助け?猫助けで子猫を引き取ることに。
「こちらも猫の可愛さは十分わかっているから無下に断れないし、まあミャー子はしっかりしているから大丈夫だと思うんだけど・・・」
突然あらわれた子猫にミャー子は少し驚き、子猫をくんくんしました。
その子猫は、生まれつき体からほのかに花の匂いがして、きっと花に縁のある猫なんだろうと「ハル」と名づけられていました。
「この香りは・・・」知っている香りでした。ミャー子の心に、「母さん」と過ごした秋の記憶がよみがえります。
ハルは、ミャー子が体をなめてあげると、安心して「ママ、ママ」と寄り添ってきました。
「何か大丈夫みたいね」お父さんもお母さんもほっとしました。
それから2か月後・・・
ミャー子は、ハルのことが大事で、起きているときはいつも傍にいて、眠る時は抱いて眠りました。
「最初はどうなるかと思ったけど、心配要らなかったね」「さすがミャー子、ハルはまだミルクが必要な時期だったからミルクはあげたけど、それ以外は立派に母親をやってくれて」
親子以上に仲のよい二匹を見て、お父さんとお母さんも幸せな気持ちになるのでした。
ふうちゃんと菊之露。切り貼りみたいですが笑
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- 猫と和のお稽古にまっしぐらな私の毎日をつづります。
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